G-75DH3GZ7WH AGE-原罪-第十一話 - 無料小説漫画 フルムーン

AGE-原罪-第十一話

AGE-原罪

ジークリード2nd(以下Z2)、再び世界を戦争に突き落とした、紛れもないこの時代の怪物にシゲハルは対峙した。恐ろしいほどに張り詰めて緊迫した空気が、二人を取り巻いていた。その異様な空間を切り裂くように、シゲハルはZ2に怒りの矛先を向けた。

「あなたの、あなたのために俺の父、スグル=ムラサメは死んだ。いつか、この世の最後の日に、もれなくすべての者が、もちろんこの俺も、必ず裁かれる日が来る。だがZ2あなたも、あなたも間違いなく裁かれるのだ!!その時になってあなたは、審判者である至高の神の御前で、自分は正しい行いをしたと、自信をもって言い開きができるのか!?答えろ、答えろZ2!!」

声高らかに、シゲハルはZ2を激しく糾弾した。父親が自ら命を絶った、リボルバーの銃口を突きつけながら。そんな彼にZ2も、氷のような視線を向け冷たく答えた。

「俺は、この世界の支配者だとみんなに目されている存在、その立場から、君たちを俯瞰した上から目線で言わせてもらうが、各国の一部の支配者や軍の連中が、戦争を望んで俺に頼みに来たから、お望みどおりにしてやっただけだけど、そんなにも、そんなにも戦争が嫌なら、なぜ戦乱の世を忌み嫌い、本気で平和な世を希求しないのか、え?人類!?」

銃口を突きつけられているのにも関わらず、このZ2という化け物は、少しも顔色を変えず何ひとつ動じない。父親の死に、どうしようもなく憤慨しているシゲハルであるが、このZ2を殺せばその影響は、自分が計り知れないほどに、この世界に大きく波及する。怒りを押し殺し、銃口を下ろすほかなかった。そしてつかさずZ2に踵を返し、自身の搭乗機に戻っていった。

「シゲハル君、軍を脱しバルドーを出国するつもりかい?そういうことなら、君の好きにするがいい、ただし、………..。」

Z2の話が終わる前に、シゲハルは部屋から出ていった。Z2の言ったように、彼は二度とバルドーに戻らないつもりだった。職業軍人であるとはいえ、無駄な戦も殺戮も彼は望まなかった。まして、Z2の恣意的な理由で巻き起こされた、戦争に与するなど絶対にできなかった。そして何より父親の死は、計り知れないほどの暗い影を、彼の心に落としたのだった。自分を拾い大切に育ててくれた父が、心から願った平和は無残にも崩れ去った。この先自分にできることなど、到底見出すことができなかったのである。戦闘機”ファイヤースピリット”に乗り込み、Z2のプラベート空母の滑走路を離陸した。行くあてなどないが、バルドーではない他の場所へ、まるで、何かに導かれるように。

優しかった父への思いと、父と自分のこれまでの歩みに思いを巡らせていたのも束の間、後ろの方から響き渡る凄まじい轟音が、耳に入ってきた。振り返ると、母国バルドーから数十もの戦闘機の大群が、自分の搭乗機を追走していることに気が付いた。それは紛れもなくZ2の命令、即ち脱走兵となったシゲハルを、徹底的に撃墜することである。ちなみに先ほどのZ2の発言には続きがあった。

「君の好きにするがいい。ただし、君を容赦なく撃ち落としにかかる戦闘機の大群から、逃れることができたらね。」

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