蒼き狼と、ブリスターの護衛する、小型戦艦から、奇襲をかけてきたシューティングスターへ向けて、猛烈に高射砲が火を噴いた。それにも関わらず、シゲハルはスオウを追っていたが、高射砲の猛攻は、思いのほか脅威になった。
(やむを得ないか……..。)
シューティングスターは、蒼き狼の追撃を一時中断、そのまま大きく右に旋回し、海面スレスレをすべるように滑走、そのまま搭載してあった魚雷を、戦艦めがけて発射した。魚雷の名手であるシゲハルの放ったそれは、的確に進路をとり、凄まじい威力を宿したまま、戦艦の右舷に命中。まさにこの男ならではの、芸当をもってして、旧式で一見すると、駆逐艦と見間違われるほどに、小型のこの戦艦は、大炎上をおこし海の藻屑に消えていった。ドゥーシェ本国から距離があり、深淵のこの海域においては、回収はほぼ不可能。
スオウの相方のカズキ=キサラギは、呆然とこの、異次元の域に達した世紀の一戦を、手も足も出せずただ傍観していた。
(な、何なんだよこいつら…….。)
形勢はスオウやカズキにすこぶる不利。スオウの指示で、カズキは煙幕弾を張り、シゲハルの視界を遮り、何とかドゥーシェの飛行場へ、一目散に帰還した。シゲハルもここへ来て追撃を断念、やむなくジークリード2ndの、プライベート空母へ帰還した。
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