全速力で駆け抜けてきたため、ヒエンは息も切れ切れに、だが必死にヒスイに訴えかけた。
「お兄ちゃん、早くここから逃げましょう、じゃないとお兄ちゃん殺されてしまう………、ハインは、あの人はとても恐ろしい人だわ!!」
静かに押し寄せる波打ち際でヒエンの必死の説得が終わる前に、二人は周囲を堅固に武装し殺気に満ちた、大勢の刺客達に取り囲まれた。そして体勢を整えた彼らは、切っ先鋭い長槍でヒスイの動きを牽制し、無数の矢を彼に向け、すさまじい勢いで一斉に解き放った。
「お兄ちゃん!!」
必死に兄を身を挺して守ろうとしたヒエンとともに、彼はその類まれなる跳躍力で降りかかってくる飛矢の嵐をくぐり抜けて、その場から一目散に逃げ去った。
刺客達はすぐに二人を追いかけようとしたが、ヒスイの飛脚力に到底追いつけるものはなく、彼らの前から瞬く間に二人は仄暗い闇夜に消え去った。
だがハインは決してヒエンを諦めない。そして刺客達に次なる命令を下した。
「ヒスイは必ず殺せ…….、だがヒエンは決して死なせることは許さない、必ず、生かして連れ戻せ!!」
ヒスイとヒエン、哀れな双子の出口の見えぬさすらいの旅路が、こうして再び始まったのだった。
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