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(お兄ちゃんが危ない!!)
一人偵察に出ていたヒスイに、ハインの追手が迫っていることを察知したヒエンは、双子の兄妹が住処にしていた洞窟を抜け出し、彼のもとへ駆け出した。
「お兄ちゃん!!」
幾重にも連なり今にも覆いかぶさってきそうな深い森の木々の藪やツタをおいのけてきた、そんなヒエンの目に次の瞬間、ハインの大勢の刺客達に取り囲まれ命を狙われる、兄の姿が飛び込んできた。強堅な武器を持ち殺気に溢れる男たちに、四方から囲まれたヒスイ。しかし彼のその卓越した身体能力をもってすれば、なんとかこの修羅場から脱出することも決して不可能ではない。だがこの時彼の脳裏には、ある”駆け引き”を持ちかけると仮定する考えがよぎったのだった。
自分の命と引き換えにハインにヒエンを引き渡せば、少なくとも彼女の行く末は安泰ではないか……..?その考えは刺客の一人が、彼の身体を貫こうと勢いよく放たれた長槍を回避するシナリオを、完全に失わせたのであった。
(ヒエン………どうかいつまでも幸せで……。)
「お兄ちゃん!!」
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ヒエンは兄を穿たんと差し迫る長槍の前に出て、ヒスイの盾になろうとした。
長槍の鋭い切っ先が、彼女の華奢な身体を貫くその刹那の寸前にヒスイは彼女を抱き寄せ、切っ先をかわすのと同時に、刺客達の合間を目にも止まらぬ速さで逃げ去っていった。