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清涼な夜風の吹き渡る澄み渡った夜、ヒエンの前に黒いモヤが現れて、その中から死神が姿を現した。実は彼も陰ながら、双子の兄妹を見守っているのだ。
「………死神さん、私とお兄ちゃんは決して結ばれないし天国にも行けない………..。周囲はそれを許してはくれない、ましてお兄ちゃんも動いてくれない……….。だって私が昔、その対価を受け入れて、死神さんにお兄ちゃんを助けてもらったもんね。だから仕方ない、仕方ないのだけれでも………..だけど辛くて、悲しくて仕方ないの……。」
ヒエンは死神に胸の内を力なく打ち明けた。彼は彼女に永遠の時間の中で孤独に、それも理由も知らず死者の魂を狩るだけの、虚無な自分自身の深い闇を見た。
「お願い死神さん、無理かもしれない、でも願わずにはいられないの! もしかつてのように….また対価が必要ならそれを受け入れる………..。もし叶うのなら私を、この世のすべての苦しみから解き放って、お兄ちゃんが私を愛してくれないのなら、共にいられないならせめて…、苦しみも悲しみも、辛いことを一切思い出さず、お兄ちゃんのことだけを愛することができる、そんな世界へ連れて行って。」
昔瀕死の兄を助けるために受け入れた対価、そのために決して愛する兄と結ばれないことを、どうしてもそれに抗えないことを、ヒエンは改めて思い知らされた。そんな絶望の淵からの、せめてもの願いを死神に嘆願したのだった。