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やっとのことで追手を振り切り、安全なところまで逃げ延びた双子の兄妹。
「お兄ちゃん何で、どうして死を選ぶの!?」
いつも兄を見てきたヒエンには、兄の不可解な行動の意味が分かっていたのだ。とうとうここにきて、彼女の心に押さえつけてきたものが、決壊したダムの水の如く溢れだしたのだった。
「ねえ、どうして? 私は、私はお兄ちゃんと一緒にいられるなら、お兄ちゃんを愛し続けることができるなら、どんな生き方だってどんな生活だってかまわない、なのにお兄ちゃんは……どうして私の心からいつも逃げるの? どうして私と生きること選んでくれないの? どうして、どうして……私から離れていこうとするの……….!?」
自分の願いと向き合ってくれず、ただ死に逃げようとする兄を、彼を深く愛するほどに彼女は許せなかった。一方彼は、愛するほど大切に思うほどに、この妹に真意を打ち明けられず、求めるほどにその気持ちと相反し、彼女をこの先も守り抜いていく自信の無さが情けないほどに、彼自身をひどく苛んでいるのだった。大事にしすぎて何もできないでいる、不幸なことにその優しさが彼女にとって、あまりにも残酷な状況をもたらしていた。
(君たちはずっと共にはいられない…………。)
かつて死神が予見した未来、運命がこんなにも辛いものであるなんて…………。